葬儀の基礎知識

親が亡くなったら何をすればいいの?【死後14日目~10ヶ月】

親や身内の死を何度も経験する方はあまり多くないと思います。そのため、いざ自分自身がご遺族となった際に「どういった手続きが必要なのかがわからない」という方も多いことでしょう。

特に親が亡くなった場合は、必要な手続きが非常にたくさんあります。なかには期限が決められているものもあるため注意しなければいけません。今回は、できるだけスムーズに手続きを進められるよう、親が死亡した後にしなければいけないことを3つの記事に分けてご紹介します。

①親が亡くなったら何をすればいいの?【死後当日~7日目】の記事はこちら

②親が亡くなったら何をすればいいの?【死後2年~5年】の記事はこちら

【14日以内】期日を過ぎないよう早めに

死後14日以内にしなければいけないことは3つです。期限を過ぎると過料が課されるものもあるため、注意しましょう。

①年金受給停止手続き(厚生年金:10日以内、国民年金:14日以内)

親が年金受給をしていた場合、死後の年金に関しては受給する権利がなくなるため「年金受給停止手続き」が必要です。

年金受給停止手続きの期限は、厚生年金は死亡後10日以内、国民年金は死亡後14日以内と設定されています。なお、年金受給停止手続きは、役所に死亡届を提出しただけでは自動的に行われないので注意しましょう。

年金受給停止手続きは、以下の書類を年金事務所もしくは年金相談センターに提出しなければいけません。

・受給権者死亡届
※ただし、日本年金機構にマイナンバーが収録されている場合は原則不要です。
・年金証書
・住民票の除票、戸籍抄本、死亡診断書・死体検案のいずれかのコピー

なお、亡くなった月分までの年金については、「未支給年金」としてご遺族が受け取ることができるので忘れず手続きをしましょう。

年金受給を停止せずに受け取るのは犯罪

もしも、親が亡くなり年金受給の権利がなくなったのにも関わらず、届出をせずに年金を受け取ると不正受給となり、受け取った年金は返還しなければいけません。また、死亡の事実を隠し長期間にわたって故意的に年金を受け取り続けた場合は、詐欺罪などの犯罪行為とみなされ検挙される可能性もあります。

②介護保険資格喪失届の提出

親が65歳以上の場合、もしくは40歳以上65歳未満で要介護・要支援認定を受けていた場合は、14日以内に故人の住民票に記載されている市区町村役場へ出向き、介護保険資格喪失届の提出をしなければいけません。

必要な書類は以下の通りです。

・介護保険証
・介護保険資格喪失届

③住民票の世帯主変更届

親が世帯主で、親の死後に同居人が新たな世帯主になる場合は、住民票の「世帯主変更届」を期限内に市区町村役場に提出しなければいけません。この手続きを期限内に行わなかった場合、5万円以下の過料が課されるので要注意です。

なお、死亡届を提出した時点で住民登録は抹消されるため、別途抹消届は不要です。

【1ヶ月以内】

死後1ヶ月以内にしなければいけないことは1つです。

雇用保険受給資格者証の返還

親が雇用保険を受給していた場合は、1ヶ月以内に「雇用保険受給資格者証」をハローワークに返還しなければいけません。雇用保険受給資格者証とは、失業手当を受け取る資格があることを証明するための書類です。

【3ヶ月以内】

死後3ヶ月以内にしなければいけないことは1つです。

相続放棄、限定承認の申述

親に多額の負債があった場合は、「相続放棄」や「限定承認」を検討しましょう。

相続放棄

相続放棄をすると、すべての資産、負債を相続しません。申請先は親の住所地の家庭裁判所で、必要な書類は以下の通りです。

・相続放棄の申述書(裁判所ホームページからダウンロードが可能です)
・標準的な申立添付書類
・故人の除籍謄本
・故人の住民票除票
・申述人の戸籍謄本 等

※必要書類は故人と申述人との続柄によって異なります。

限定承認

限定承認は、相続で得られた財産の範囲内で故人の負債を弁済する相続制度です。ただし、限定承認は相続人が全員で手続きしなければいけません。

申請先は親の住所地の家庭裁判所で、必要な書類は以下の通りです。

・限定承認の申述書(裁判所ホームページからダウンロードが可能です)
・標準的な申立添付書類
・故人の除籍謄本
・故人の住民票除票
・申述人全員の戸籍謄本 等

※必要書類は故人と申述人との続柄によって異なります。

【4ヶ月以内】

死後4ヶ月以内にしなければいけないことは2つです。

①所得税の準確定申告

 「所得税の準確定申告」とは、所得や納税額について相続人が故人に代わり申告・納税する申告・納税をする義務のことを指します。故人が自営業、フリーランス、副業収入が20万円以上だった場合、公的年金支給額が年間で400万円以上だった場合は確定申告義務者であるため、準確定申告の義務が発生します。ただし、故人がもともと確定申告義務者ではなかった場合は、準確定申告の義務はありません。

準確定申告は、税務署の窓口で「準確定申告書」を提出します。もしも相続人が複数名いる場合は、そのうちの1名を代表者として手続きが行えますが、その際は、すべての相続人の連署が載った付表を準確定申告書に添付する必要があります。

②固定資産税の納税

年度の途中で家や建物などの固定資産の所有者が亡くなった場合、その年度の納税義務は相続人に引き継がれます。支払先は固定資産の所在する市町村です。

【10ヶ月以内】

死後10ヶ月以内にしなければいけないことは1つです。

相続税の申告・納税

遺産総額が相続税の基礎控除(3,000万円+法定相続人数×600万円)を超える場合は、故人の住所地を管轄する税務署へ相続税の申告・納税が必要になります。

なお、相続税には、「配偶者の税額軽減」や「小規模宅地等の特例」などの控除・特例制度がありますが、これらの特例は「相続税申告」をしていなければ適用されないため、相続税額がゼロの場合でもでも忘れずに申告しましょう。