葬儀の基礎知識

室蘭市における湯灌(ゆかん)・ボディケアシャワー・お風呂湯灌とは

お葬式の儀式の中で必ず行われる湯灌(ゆかん)。以前大ヒットした湯灌師を題材にした映画『おくりびと』を思い出す方もいるのではないでしょうか。 湯灌という言葉だけは聞いたことがあっても、具体的にどういうことをするものなのかまでは知らない方も多いのではないでしょうか。 湯灌にはどういった意味があるのかご存じではない方もいるでしょう。 今回の記事では、湯灌の意味合いと現在室蘭市で行われている湯灌にはどのような種類があるのかをご紹介します。

湯灌とは?

湯灌とは、亡くなった方の体を湯で洗い、仏衣などの着物を着せることで、亡くなった方を弔う古くからの慣習の一つです。 単なる洗浄を目的としているものではなく、葬送のための重要な行いとして日本人の習俗に位置付けられています。まず一つ目に、亡くなった方が来世に導かれるために現世の穢れや汚れ、煩悩を洗い清めるという意味があります。そして赤ちゃんが生まれた時、産湯につかるように、新たに来世へ生まれ変われますように、という願いが込められているのです。

湯灌の歴史について

湯灌の歴史を繙くと、その源流は古代インドで行われていた国王の即位の儀式にあると言われています。海水を集めて頭頂に注ぐその儀式は『灌頂(かんじょう)の儀』と呼ばれました。やがて僧侶の出家の儀式でも行われるようになり、中国を経て日本に渡ったとされています。真言宗では入棺の際にもこの儀式を行っていたことが、葬儀で行われる湯灌の始まりとも伝えられています。

湯灌師(納棺師)とは?

室蘭市の湯灌は、葬祭業者が委託する湯灌師の手によって行われています。湯灌師は納棺師とも呼ばれます。湯灌師に聞きなじみがなくても納棺師という言葉なら聞いたことがあるとい方も多いでしょう。専門学校や湯灌を主たる業務とする企業で、解剖学や細菌学など医療に関する知識その他湯灌に必要な技能を身に付け、その業務に従事する人のことです。湯灌は亡くなった方を送るための『儀式』として行われることが多くあります。通常ご遺族の見守る中、およそ一時間ほどかけ故人が葬儀に臨むための準備として進められます。

湯灌はやらないといけないの?

経済的事情などにより、宗教儀式をせずに故人を荼毘に伏すことを、世間では直葬などと呼んでいます。費用を抑えることが最優先のため、かなり質素な葬送となりますが、この場合でも湯灌を省略する方はあまり居ないのが実情です。宗教の種類や有無を問わず日本人の葬送での歴史の中で、無くてはならないものという考えが根強くあるといえます。その背景には、残された人が段階的に死を受け入れるための仕組みの一つとして、湯灌は大きく機能していることが考えられます。身近な方の死というものは大変に辛いものです。そして、そのお亡くなりが急であるほどその事実は受け入れがたいものです。お亡くなりの方はすぐに納棺されるのではなく、一旦はお布団にお寝かせし、その後然るべきタイミングで湯灌を行いその上でお棺に納めるという具合に段階を踏みます。悲しみをやわらげながら、死を少しずつ受け入れさせるという、日本人が長い年月の中で作り上げた葬送のあり方は、理にかなったものだと言えます。

湯灌って実際どんなことをするの?

湯灌は幾つかの種類の分けられますが、室蘭市では古式湯灌が主流の方法です。古式湯灌とは濡らした脱脂綿で体の拭き清めが行われる作法を示しています。
もともと湯灌はお湯を使い故人の体を流すものでした。 大きなたらいに水を張り、そこにお湯を入れて温度調整をした「逆さ水」を用意し、故人の体を浸しごく近親の方々で洗うというものがもともとの湯灌でした。 しかし、北海道や東北のように冷え込みの厳しい地方ではとくに冬にお湯がすぐに冷めてしまうことから、今の古式湯灌と呼ばれる拭いて清める形が主流となったのです。
室蘭市の湯灌がどのように進められているのか、従来行われている古式湯灌で説明しますと、①脱衣②清拭③顔剃り④着せ替え(仏衣へのお着替え)⑤お顔拭き⑥死化粧⑦納棺といった手順で進められます。
古式湯灌は故人のお体を清拭し、仏衣などの着物を湯灌師の手でお着せするものをいいます。

①脱衣

まずは病院などで着ていた病衣や浴衣を脱がせるところから始まるのですが、ご遺族立ち合いのもと湯灌は進められますので、故人のお肌を露出しないように細心の注意を払いながら行われますのでご安心ください。

②清拭

次にぬるま湯に消毒用の薬液を加えたもので脱脂綿を湿らせ、丁寧に故人のお体を拭いていきます。

③顔剃り

湯灌はお体のお清めだけではありません。 男女限らずお顔にカミソリを当て、髭や産毛の処理も行うので、病床から動けず理容院に行けなかった方も大変さっぱりとしたお姿に変わります。

④着せ替え(仏衣へのお着替え)

亡くなった方にお着せする衣装のことを死に装束と言い、仏教では経帷子(きょうかたびら)と言いますが俗に仏衣と呼ばれています。宗派により着せ方は多少異なりますが、通常とは逆の左前という合わせ方で着物を着せるところが独特です。仏衣を着せる際にもお肌を露出しないよう、浄眠と呼ばれる薄手の掛け布団で隠しながら進められます。

⑤お顔拭き

顔剃りし着物をお着せした後は、お立会いの方の手で代わる代わるお顔を拭き、お別れをするのも古くから行われている慣習です。

⑥死化粧

女性の方は最後にメイクを施しますが、顔剃りにより化粧のりも良くなるため綺麗なお肌に仕上がることも多く、若返って見えることも珍しくありません。 男性の方でもお肌の色を整えるためにファンデーションを施すことがあります。お化粧だけは自分たちで施したいというご希望があれば、ご家族の手で行うこともできます。生前故人が使っていた化粧品を使うことも可能です。

⑦納棺

最後は男性のご遺族のお力添えをいただきながら湯灌師、斎場スタッフとともに故人をお棺にお納めします。ご納棺後は故人のお顔の周りなどに副葬品を納めます。着物や洋服など、故人が生前身に着けていたものなどを納めることが多いです。しかし、材質などによっては火葬場から制限されているものもあります。詳しくはめもりあるグループまでお気軽にお尋ねください。

室蘭市における湯灌の慣習とは

湯灌のときどうすればよいのか?

湯灌時の服装は?

普段着で端座する。儀式の一つとして行われるため、正座にこだわらなくても構いませんが、居住まいを正す必要があります。室蘭市での湯灌に立ち会う方の服装は、普段着であることが多く無理に喪服を着る必要はありません。

室蘭ではリンを鳴らす?

室蘭市での湯灌ではその最中にリンを鳴らし続ける慣習があります。その謂れには諸説ありますが、魂がまだ近くにあることを亡くなった方に知らせるためだとも言われているためです。リンを鳴らすのは故人の兄弟や甥、姪に当たる方に行っていただくことが多く、配偶者や子は間近で湯灌を見守ることに意を注ぐものとされています。

納棺の手助けについて(誰がどこを持つの?)

元来、納棺は遺族の手で行われていたことから現在でも男性の遺族がメインで行います。その際、誰がどこを持つかについても多少の決まりがあります。
①頭は長子(一番大事な部位のため)
②お腹は力の強い方(重いため)
③足は力の弱い方(軽いため)
といった具合に分担します。お体を持ち上げるときは息を合わせるのですが、その際に「せーのっ!」などのような掛け声はしてはならないとされています。もちろん故人をまたぐようなことはあってはなりません。

湯灌の儀式はどこまでの親戚まで声をかけるのか?

湯灌は葬送の儀式の一つであると考える方は少なくありません。もしもの時には湯灌に立ち会いたいと考えるのは子や孫だけではないのです。訃報を受けた親族も故人が亡くなったことにすぐには実感が沸かないのも事実です。湯灌には故人の死を視覚的に再認識できる側面がある以上、血縁的に近い方にはその日時を知らせる必要があります。知らせる必要がある方としては、
①故人の兄弟姉妹
②故人の甥や姪
③故人と特別親しかった友人
などが考えられます。葬儀はやり直しが効かないものです。後で立ち合いたかったと言われないように遺族は配慮する必要があります。

室蘭市民斎場 雲上閣の湯灌は様々な種類があります

室蘭市民斎場 雲上閣では、古式湯灌に加え「シャンプー湯灌」「ボディケアシャワー湯灌」の3種類からお選びいただくことが出来ます。 シャンプー湯灌は、故人のご頭髪をシャンプーで洗うものです。 ボディケアシャワー湯灌では故人を専用の浴槽を使用し、お湯を使って全身を洗浄します。 室蘭は古式湯灌が主流ではあるものの、最近ではシャンプー湯灌やボディケアシャワーを選ぶ方も多くなっています。 このふたつは決して目新しいスタイルというわけではなく、故人の体を湯に浸した本来の形に近い湯灌だと言えるのです。

シャンプー湯灌とは?

シャンプー湯灌とは、故人のご頭髪をシャンプーで洗浄し清める湯灌です。 古式湯灌とセットとなり、お体は古式湯灌で清め、ご頭髪はシャンプー湯灌で清める形となります。 専用の装置でお湯を出し、流れた泡とお湯は瞬時に本体付属の掃除機で吸い取る仕組みです。 そのためシーツは汚れず、衣類も一切濡れないので古式湯灌の前でも後でもシャンプー湯灌は可能となっております。 トリートメント後はしっかりとドライヤーで乾かし、ヘアセット、必要に応じてお化粧を行いシャンプー湯灌は完了です。 白髪が目立って気になるという方には、スプレー・マスカラタイプの染毛剤での髪の毛のカラーリングも可能となっています。

ボディケアシャワー湯灌(お風呂湯灌)とは?

ボディケアシャワー湯灌は専用のバスタブで全身を洗浄する湯灌なので、古式湯灌は行いません。使用する装置はご家庭のシャワーに近い本格的なものです。 お顔にもパックをし、洗顔時にはフェイシャルマッサージを行うために、お顔にも艶とハリが出ます。 ご頭髪はシャンプーでしっかりと洗い流し、お体もボディスポンジにボディーソープをつけて全身を洗浄します。 脱衣時も洗浄時も体のラインの出ない大きなバスタオルをかけておりますので、ご親族に故人のご身体が見えてしまうという心配はありません。 お湯は40℃程に温められ、入浴剤の入ったものを湯灌師が持ち込みます。 使用したお湯も持ち帰りますので、お湯や排水のご用意をしていただく必要はありませんのでご安心ください。洗浄後はドライヤーで髪を乾かし、全身をバスタオルで丁寧に拭き取り、ボディークリームで全身保湿を行います。その後、仏衣へのお召し替え、ヘアセット、必要に応じてお化粧をして完了です。

湯灌を行う際に準備するもの

では湯灌を行う際にご家族が準備するのはあるのかというと、湯灌の種類によって違います。それぞれの湯灌ごとにご紹介しましょう。

古式湯灌の場合 、準備する物

室蘭市民斎場 雲上閣で葬儀を行う場合、ご自宅で古式湯灌を行う際にご用意していただくものは、ぬるま湯を入れた洗面器と、その下に敷く新聞紙の2つです。故人が湯灌後にお召しになる仏衣は葬儀の打ち合わせの際にご家族に決めていただき、湯灌の際にお持ちいたします。当斎場の施設にご安置される場合、特別ご用意していただくものはございません。

シャンプー湯灌の場合 、準備する物

シャンプー湯灌では湯灌師がシャンプーを持ち込みます。そのためとくにこだわりがなければご用意に関しては古式湯灌と同様です。ご安置しているシーツの上で行うので、自宅の浴室などの施設をお借りすることもありません。故人が生前好まれていたシャンプーなど、ご希望のメーカーのものがある方もいらっしゃいます。その場合は事前にお教えいただければそちらを使用することできます。

ボディケアシャワー湯灌の場合 、準備する物

ボディケアシャワー湯灌もシャンプー湯灌同様、特別なこだわりがなければご用意していただくものはありません。シャンプーと入浴剤は、故人が好まれていたものなど、事前にお教えいただけるとそちらを使用できるのもシャンプー湯灌と同じです。ボディケアシャワー湯灌では、専用のバスタブを使うためそれなりの広さが必要になります。シャワーに必要なスペースが6~8畳程、お立合いに必要になるのが2畳ほどです。ご自宅での湯灌を希望される場合は8~10畳ほどのスぺースが必要です。

シャンプー湯灌やボディケアシャワー湯灌が選ばれている理由

最近のご葬儀ではシャンプー湯灌やボディケアシャワー湯灌を選ばれる方が少しずつ増えてきました。その中で多く聞くのは、入院生活が長くお風呂に入りたがっていた故人の希望を最期に叶えてあげたい、といった家族の希望です。ほかにも、家族みんなで故人を送る準備がしたいという思いの方もいらっしゃいます。シャンプー湯灌もボディケアシャワー湯灌もご親族の方々に参加していただくことが可能です。湯灌師の先導のもと、ご洗髪やご洗体に参加できるため、よりご家族が一緒になってお見送りの準備をしている実感が生まれやすいからです。 背景はさまざまですが、時代の変化とともに葬儀の規模は縮小している傾向があります。 大人数での大規模な葬儀を行なわなくなった分、近親者だけでより故人に寄り添いお別れの時間を過ごしたいと考えるようになった家族が増えたため、シャンプー湯灌やボディケアシャワー湯灌を選ぼうと考える人も増えているのです。

自宅の湯灌と斎場の湯灌の違いについて

湯灌はもともと亡くなった方の家でするものでした。しかし、最近の住宅事情や家族葬を予定している場合には、親族が大勢集まる湯灌を自宅で行うのはご近所の目を集めたり、駐車スペースが無かったりと不都合を伴うものです。めもりあるグループでは病院などから直接お連れしてご安置することが可能な施設もあります。そのため、そういったご心配のある方にも安心してご利用いただくことが可能です。

お問い合わせはめもりあるグループ(室蘭市民斎場 雲上閣)へ

湯灌とは故人がお棺に入る前に行われる最期の清めの儀式です。何事も最期だからこそ故人に寄り添いたいと考えても、この記事だけではわからない点もあるかもしれません。 気になることや不明点などがございましたら、いつでもめもりあるグループまでお問い合わせくださいませ。