葬儀の基礎知識

【苫小牧市の検死ガイド】検視・検案・解剖の違いと流れ/費用の目安まで

検視、検案、解剖違いと流れについて

公開日: 2025年10月30日 9:00

最終更新日: 2025年10月30日 09:00

ニュースやドラマで耳にする「検死」。事件性のある死亡時だけの特別な手続きと捉えられがちですが、検死は誰にでも起こり得る身近な公的手続きです。苫小牧市でも、ご自宅や施設で亡くなられた場合など、状況によって検死が必要になることがあります。本記事では、検死の意味と内訳(検視・検案・解剖)、必要となるケース、進み方、費用の目安、検死期間中に家族が準備しておくことまでを分かりやすく解説します。

「検死」とは?――検視・検案・解剖の総称

検死は、次の3つの手続きの総称です。いずれも死因を正確に特定するために行われます。

1)検視(けんし)

警察官(または検視官)が、現場とご遺体の外表を確認し、事件性の有無を判断する刑事手続きです。外傷の有無、着衣の乱れ、現場状況などを調べ、第三者関与が疑われるときは司法解剖に進みます。

2)検案(けんあん)

医師がご遺体の体表を診て、病歴や死亡状況を踏まえて死因・死亡時刻を推定する手続きです。死因が確定すれば、死亡診断書または死体検案書が発行され、検死は終了します。特定できない場合は解剖へ。

3)解剖

医師がご遺体を切開し、臓器を直接確認して死因・死亡時刻を特定します。犯罪性や死因不明の場合に実施され、次の5種類があります。

  • 司法解剖:犯罪性が疑われる場合
  • 行政解剖:犯罪性は薄いが死因究明が必要
  • 新法解剖:事件性は否定されるが、警察署長等の判断で死因究明を行う
  • 病理解剖:病死時に診断妥当性や治療効果を検証(遺族同意が必要)
  • 承諾解剖:教育や研究目的(遺族同意が必要)

なお、司法・行政・新法解剖は原則拒否できません病理解剖・承諾解剖は遺族が拒否可能です。

検死が必要になる主なケース

病院以外での死亡、かかりつけ医が不在・確認困難、死因が不明・不審な点がある場合などは、変死扱いとなり検死が必要です。苫小牧市でも次のような状況では検死が行われます。

  • 自宅・施設(老人ホーム等)での死亡や孤独死が疑われる場合
  • ご遺体に外傷、室内の荒れ、遺書など不審な状況が見られる場合
  • 死因が特定できない突然死、治療中でない持病による急変 など
  • 事故死(交通・労災・スポーツ・転倒・転落・水難・火災 等)
  • 医療事故が疑われる場合(投薬・手術ミス等)
  • 薬物・中毒が疑われる場合
  • 自然災害(地震・落雷・津波 等)
  • 身元不明の可能性がある場合

事故・犯罪の可能性が否定できない場合、警察判断で検死・解剖に進むことがあり、遺族の意向に関係なく実施されます。

検死の流れ(苫小牧市で想定される一般的な進み方)

① 現場確認(警察)

死亡状況・現場の保全・記録、関係者聴取などを行い、事件性の有無を初期判断します。

② 搬送(警察署の霊安室等)

ご遺体は状況に応じて警察施設へ搬送され、検視・検案の準備が進みます。

③ ご遺体の調査(検視/検案)

外表所見、既往歴、状況証拠等から死因を推定。確定すれば死亡診断書・死体検案書が作成されます。

④ 解剖の要否判断

死因が特定できない、または犯罪性の有無の判断に解剖が必要とされた場合は、司法/行政/新法解剖へ。完了後に結果が示されます。

⑤ 安置場所への搬送・引き渡し

検死終了後、斎場・ご自宅・葬儀会館など希望の安置先へ搬送します。搬送は警察または葬儀社が担います。検死が終わる前に安置先の希望を家族で決めておくとスムーズです。

所要日数の目安

事件性がない場合:多くは検視・検案のみで完了し、半日〜1日程度(遅くとも数日以内)でご遺体が戻ることが一般的です。

事件性がある/解剖が必要な場合:手続きや鑑定内容により数日〜1か月超かかることがあります。DNA鑑定等が必要な場合は10日以上、損傷が大きいケースではさらに長期化することがあります。

費用の目安(検視・検案・解剖)

検視:法律に基づく手続きのため基本的に費用負担なしです。

検案:検案料2〜3万円死体検案書5千円〜1万円が目安。加えて搬送費がかかるため、合計3〜10万円ほどになるケースがあります。

解剖:概算で30万円前後の費用が見込まれます。事件性がある場合は公費負担となることが多く、事件性がない場合は遺族の自己負担になる可能性があります。実務上、葬儀社が一時立替し後日精算となることもあるため、見積・請求の流れを事前に確認しましょう。

注意:費用負担の扱いは自治体によって異なるため、苫小牧市役所や警察、葬儀社へ確認しておくと安心です。解剖の可能性や鑑定の有無も、担当機関に事前確認しておきましょう。

検死期間中に家族が準備しておくこと

1)葬儀社を決める(相見積もり推奨)

ご遺体のご帰還後は、すぐに安置と葬儀準備へ進みます。検死中に葬儀社を選定しておくと慌てずに済みます。警察の紹介だけでなく、自分でも2〜3社を比較し、費用・会場・形式(家族葬・一日葬・一般葬等)、希望演出の可否を確認しましょう。苫小牧市内外での会場手配や安置先の確保、深夜搬送の可否も要確認です。

2)葬儀のイメージを家族で共有

規模、日程、宗教儀礼、希望演出(思い出映像・音楽・写真 等)を話し合い、見積と段取りの基準にします。

3)ご遺体の引き取り準備

警察署により引き取り時の状態は異なります。搬送は依頼先の葬儀社と連携して進めます。

4)引き取り時に必要な書類・持ち物

  • 死亡診断書/死体検案書
  • 埋火葬許可証(申請は葬儀社代行)
  • 故人の身分証引受人の身分証印鑑
  • 費用負担がある場合の現金(必要に応じて)

不明点は、苫小牧警察署や担当葬儀社へ遠慮なく相談しましょう。

まとめ――苫小牧市で検死に直面したら

  • 検死=検視・検案・解剖の総称。死因の正確な特定が目的です。
  • 病院外の死亡や死因不明などでは検死が必要になることがあります。
  • 所要日数と費用は事件性・解剖の有無で大きく変わります。
  • 検死中は葬儀社の選定・安置先の決定・書類準備を進めると安心です。

苫小牧市での急なお別れに備え、地域事情に詳しい葬祭ディレクターへ早めにご相談ください。ご安置・お迎え・ご葬儀の段取りまで丁寧にサポートします。お葬式のことは、めもりあるグループへ。