葬儀の基礎知識
大往生の意味とは?

高齢の方が亡くなった際によく聞かれる「大往生だった」という言葉。この「大往生」はよく使われがちな言葉ですが、実は使ってはいけないケースがあります。とはいえ、一般的に使われている言葉であるため、マナー違反に気づかないままの方もいるかもしれません。
今回は、「大往生」の」意味と由来、マナー違反な使い方やご遺族が使用する際の例文、ご遺族に「大往生でした」と言われた際の返答方法などをご紹介します。
目次
大往生の意味
大往生という言葉は、故人が長い人生を全うし、苦しまず心穏やかにこの世を去った際に使われる表現です。けがや病気で苦しんで亡くなるのではなく、老衰や自然死などの静かで安らかな死を迎えることを指します。
またこの言葉には、故人が天寿を全うして後悔のない生涯を送ったことを尊び、長寿を称える気持ちも込められています。反対に、若いうちに亡くなった場合、苦しい闘病生活の末、亡くなった場合、事故でけがをして亡くなった場合など、不本意な死であった場合には使いません。
大往生の由来
大往生の「往生」という言葉は、「極楽往生(ごくらくおうじょう)」という仏教用語が由来です。極楽往生の「往生」には、故人の魂が現世を去り極楽浄土へ向かう旅に出て、極楽浄土に生まれ変わるという意味があります。さらに「大」を付けることでその言葉がより強調され、安らかで後悔のない立派な死であったことを表しています。
大往生と言われる年齢は?
「大往生」と言われる年齢に明確な基準はありませんが、一般的には平均寿命を超えた方に対して使われることが多く、現在の日本では80歳以上の年齢の方が亡くなった場合に「大往生」という表現をしています。
ただし、どれだけ平均寿命を超えていたとしても、病気やけがで苦しんだ死の場合は大往生とは言いません。あくまでも、乱れたり苦しんだりすることがない自然な死で、かつ後悔のない立派な死だった場合のみに使用します。
そのため、大往生という言葉の使用方法やタイミングを理解しないまま不適切な使い方をしてしまうと、相手に対して大変失礼にあたるため注意しなければいけません。
ご遺族以外が「大往生」を使うのはマナー違反
故人の死が後悔のない死だったのか、立派な死だったのかを判断するのはご遺族です。そのため「大往生」という言葉はご遺族のみが使える言葉だといえます。たとえば、「十分長生きして天寿を全うした死だった」と他人が思っていても、ご遺族は「もっと長く生きていてほしかった」と思っているかもしれません。
そのため、たとえどんなにお悔やみの気持ちがあったとしても、ご遺族に向けて「大往生でしたね」という言葉をかけるのは失礼にあたるのでやめましょう。
ご遺族が大往生を使用する場面
一方で、ご遺族が故人の死に対して「大往生」を使うのはなにも問題ありません。他人からの声かけに対してご遺族は「大往生でした」と言うことがありますが、これには謙遜の意味と「故人が天寿を全うできて幸せでした」という気持ちが込められています。
ご遺族が使用する「大往生」を使う例文は、以下のようなものがあります。
・祖父は大往生でしたので、本人も満足していることと思います。
・祖母は100歳で眠るような最期を迎えることができ、大往生でした。
・父は病気をすることもなく大往生を遂げることができました。など
ご遺族から「大往生でした」と言われた際の返答例
ご遺族から「大往生でした」と言われた際に、どのように返答すればよいのかわからず困ったことはありませんか?ここでは適切な返答をご紹介します。
「大往生でした」に対する返答例
・〇〇様が安らかに逝かれたとのことで安心しました。
・非常に残念ですが、〇〇様の最期が安らかなものとなり、ご家族様も安心できましたね。
・もっとお元気なお姿を見ていたかったのですが、安らかに旅立たれたということで何よりです。など
「大往生でした」に対する返答は、ご遺族の気持ちに寄り添って適切な配慮を示さなければいけません。とはいえ、ご遺族側は謙遜の意味を込めて「大往生」と言っている可能性もあるため、「そうですね、大往生でしたね」と同調するような言葉は控えましょう。なお、ご遺族の言葉に対し、それを否定をするのも間違いです。
「大往生」の言い換え表現
「大往生できてよかった」という気持ちをご遺族に伝えたい場合は、「大往生」という言葉は使わず、「天寿を全うして安らかに眠ることができましたね」のような言葉を用いましょう。
「天寿を全うする」という言葉には、「天から与えられた寿命を生き尽くした」という意味が含まれており、長生きしたことを表現しています。「安らかに眠る」という言葉には、故人が苦しむことなく安らかに旅立てたことを強調し、安心の気持ちを表現しています。

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